Be-AMSにおける電離箱のパルストレースに現れるベースラインの揺らぎ

松原 章浩; 西澤 章光*; 三宅 正恭*; 國分 陽子; 石丸 恒存

第26回タンデム加速器及びその周辺技術の研究会報告集, p.90 - 93, 2013/07

Be-AMSでは、BとBeの分別のため電離箱の入射口に設置したガスセルを利用する。ガスセルは、BeのエネルギーよりもBのそれを大きく損失させ、エネルギースペクトル(-)上で双方の分別を容易にする。筆者はこの機能を調査する中で、ガスセルのガス圧を通常測定時の値よりも低下させると、のパルス信号のベースラインが著しく揺らぐことを発見した。この振幅はBeの信号のパルス高の30%程度に達する。そこで分別性能の改善を目的としてその原因を調べた。揺らぎの大きさの依存性は、数値シミュレーション(SRIM)で得られる領域に付与するBのエネルギー の依存性によく合うことがわかった。また、検出器手前のファラデーカップで測定した電流値をもとにBの平均入射時間間隔を評価した結果、整形されたパルス幅の時間尺度よりも十分短いことがわかった。したがって一つの可能性のある原因として、Bの多重入射による信号パルスの積み上がり、いわゆるパイルアップが挙げられる。